受験勉強でスランプに陥る原因と対処法!【原因と対策を知れば怖くない】
2023.10.17
毎年秋頃になると「先生、スランプになりました」と相談を受ける機会が増えます。
具体的に聞いていくと
・以前より単語を覚えるのに時間がかかるようになった
・長文問題で、本文を何度も読み直してしまう
・長文の点数が伸びないor下がった気がする
・以前はできたはずの問題ができなくなっている
などと、みんな具体的な症状を教えてくれます。
今回は、誰もが陥る可能性のあるスランプに、焦らず対応する方法を書いてみたいと思います。
①原因は頭脳ではなくメンタルにある
②スランプに気づけることは良い傾向である
③これをすれば元に戻れる!スランプからの脱出法
①原因は頭脳ではなくメンタルにある
スランプへの対処法を伝えると言いながら、まず最初に伝えたいのは「学力(=脳力)という観点でスランプなど存在しない」ということです。
冷静に考えてください。
受験生として毎日それなりに勉強をしていて、少しずつ知識が増えてきて、問題も解けるようになってきた人が、ある日突然バカになるなんてことがあると思いますか?
勉強をしばらくサボったとか、先週あまり時間をかけずに覚えた単語を今週忘れちゃってたとか、そういう話は別です。
人間の脳力(思考力や記憶力)が、ある日いきなり低下するなんてことは基本的にはあり得ません。もし毎日勉強しているならば、むしろちょっとずつでも賢くなっていると考えるほうが普通です。
では頭脳にスランプの要因がないとすれば、何がスランプを引き起こしているのでしょうか。
その答えは『メンタル』です。
これはスランプが発生する時期を考えても明らかです。
私の塾の場合、なぜか多くの相談が秋頃に集まります。
秋頃とは一体どんな時期か・・・
共通テストの出願などが始まり、受験が近づいてきたことをリアルに感じるようになる時期です。
現役生の場合は、学校のクラスメイトに推薦合格者などが出て、勉強しなければいけない自分にモヤモヤを感じます。
また勉強でも、問題演習など、得点が明らかになるアウトプットの機会が増え、その数値に一喜一憂する時期になってきます。
模試での志望校に対する判定のアルファベットも、昔よりかなり気になる時期です。
さて、このような状況下で、受験生の心に自然と湧き出てくる気持ちは何でしょうか?
それは『焦り』です。
そうです、スランプは心の焦りと相関しています。
心が焦り始めると、どんな変化が起こるでしょうか?
例えば
・ふと気づくと、自分は合格できるのかと考え、悩んでしまう
・問題を解くときは、絶対にいい点を取らなきゃ(悪い点だったらどうしよう)と結果ばかり気にしてしまう
・自分より成績のいい友人が何人もいるのを見て、絶望感に襲われる
・既に合格を持っている人間を見るとイライラする
などがあるでしょうか。
心当たりがある人もいるかもしれません。
勉強している最中に、このような精神状態だったら、果たして勉強のパフォーマンスが高い状態をキープできるでしょうか?
答えはもちろん「否」です。
一言で言えば、焦りがある状態では「目の前の勉強に集中できていない」ため、勉強のパフォーマンスはぐっと下がります。
冒頭、スランプの生徒の症状を列挙しました。
・以前より単語を覚えるのに時間がかかるようになった
・長文問題で、本文を何度も読み直してしまう
・長文の点数が伸びないor下がった気がする
・以前はできたはずの問題ができなくなっている
特に上の2つなどが分かりやすいですが、これらの症状って「集中力が欠如しているから」起こっている現象だと思いませんか?
仕方ないんです。考えたくなくても、焦りのせいで、気づけば自分の合否のことばかり考えてしまう精神状態です。無意識にそういう考えが頭の中に湧いてきてしまうので、問題を解いていても、単語を覚えていても、すぐに雑念に邪魔されてしまうわけです。
結果、勉強やテストの出来がイマイチとなり、「以前より頭が悪くなった気がする。スランプだ!」という話になるわけです。
ということで、スランプを解決するためには『焦りを消して集中力を取り戻す』ことがカギになります。
②スランプに気づけることは良い傾向である
解決法の話をする前に、1点お伝えしておきたいことは
「自分がスランプでは?」と気づけていることはとても良いことだということです。
例えば上記のように「以前より単語を覚えるのに時間がかかっている、スランプだ!」と訴える人がいたとします。
そういう主張ができるのは、そもそも以前の自分なら〇〇分で●●語覚えられていたはずだという自覚があるからです。
つまり自分の勉強と効果を客観的に測定し、認識できていた証拠です。
自分が正常であればどの程度のパフォーマンスを出せるのかが分かっている。つまり、スランプを解消したうえで戻るべき自分の位置(=スランプ解消のゴール)を認識できているということです。
こういった認識がない人は、どこまで行っても「調子が悪い気がするなあ」などと言いながらずっともがき続けることになります(もしくは、そもそも焦らないのでスランプにならない、ただし到達点は低い)これは健全ではありません。
スランプだと感じていることはポジティブな側面もあると捉え、あまり悲観的にならずに対応していきましょう。
③これをすれば元に戻れる!スランプからの脱出法
では、受験勉強のスランプは『焦り』が原因だと理解したうえで、どのように対処すればよいでしょうか。
1⃣焦っている自分を、まず認めて受け入れる
2⃣焦りを消すのではなく、集中を高めるアプローチを使う
3⃣集中作業の成功体験を積み上げていく
1⃣焦っている自分を、まず認めて受け入れる
焦りに限らず、負の感情に対処するときは、まずそれを受け入れることが重要です。
例えば、ふと自分が合否のことに思いをめぐらせてしまっていたときには、「あ、いま自分焦っちゃってるな」と心の中でつぶやきましょう。
負の感情が出てきたときに「こんな気持ちじゃダメだ」「この気持ちを消せなきゃ」と戦うようなアプローチをとってしまうと、ますますそれを大きく意識する結果となり、自分の中の敵がどんどん大きく強くなってしまいます。
なので、あえて一旦負の感情を友人のように認め、受け入れます。
「焦ってしまっている自分も、ひとつの自分だな」と考えられるようになると、思いのほか気持ちがスッとラクになるものです。
2⃣焦りを消すのではなく、集中を高めるアプローチを使う
受け入れたあとも、やはり負の感情と向き合って戦うようなアプローチはとりません。
それをすると、またその感情を強く意識する結果となり、雑念がいつまでも消えません。
そういうときは、頭の中をからっぽにするアプローチや、プラスの感情を大きく育て、そっちの気持ちで心を満たしてしまうアプローチをとるほうが有効です。
頭や心を一旦カラにするアプローチとしては、マインドフルネスが有効です、
一流企業も取り入れており、集中力を高めるメソッドとしても有名です。
https://www.waseda.jp/taiken-waseda/seminar/kumano2/
プラスの感情を大きく育てるアプローチとしては
・寝る前に、その日良かったこと嬉しかったことを3つ思い浮かべる
・親、友人、先生など、誰でもいいので感謝の気持ちを思い浮かべる
などのエクササイズが有効です。
3⃣集中作業の成功体験を積み上げていく
是非上記のエクササイズを、集中できないときや、模試の前などに実行してみてください。
そして、大事なこととしては、何度もトライして、うまく気持ちをコントロールできたという経験を積み重ねておくことです。
このようなエクササイズをルーティンワークとして実行することを秋から習慣化していれば、スランプから脱出できるだけでなく、入試本番でも同様に集中スイッチを入れることができるようになります。
逆に、本番だけこういったエクササイズを実施しても、恐らくうまくいかず余計に焦ることになります。
入試本番と言えば、やはり大きな緊張に襲われます。必要以上に気合いが入ってしまい、空回りするような人もいます。なかなか普段と同じ精神状態は保てないものです。
そんなときに、普段から自分の気持ちを落ち着けるエクササイズに取り組んでいれば、それをいつも通り本番の会場でも実行し、普段の自分を取り戻すことができます。
なんでもそうですが、本番前に何度も練習し、成功体験を積み重ねておくからこそ、本番に同じように成功させることができます。
誰もがスランプからは1日も早く抜け出したいと思います。
でも、「何もしないでいたら、ある日突然抜け出せた」というケースは稀です。
上記のように、日々の心がけで、少しずつ少しずつ焦りや不安が小さくなり、集中が高まり、パフォーマンスが上がり、自信が回復し、入試本番までに自分の気持ちをコントロールする術が身に付けばいいのです。
大学受験とメンタルは切っても切り離せません。
でも自分の気持ちは、練習すれば自分でコントロールできるようになります。
スランプから抜け出すだけでなく、入試会場で自信をもって実力を100%発揮できるよう、今からセルフコントロールの術を身につけていきましょう。
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